変則的な形の梁の寸法測定

 鉄骨の特徴の一つは、細かくカットした各素材を溶接し、いろいろな形の部材にできることです。
 当然、曲げ加工も可能です。

 一般的な建物の梁は直線ですが、勾配のきつい二重梁(上下の階をつなぐ梁)では仕口との接合の都合上ギザギザ形状となったり(稲妻梁と呼んだりします)、意匠的に半円形に加工された梁があったりします。

 そんなときは、寸法精度はどこを計測すれば良いのか悩みます。鉄骨製品検査の教科書は標準的な測定方法しか書かれていませんから、そのような変則的な製品の寸法測定は検査技術者が自ら考えなくてはいけません。 “変則的な形の梁の寸法測定” の続きを読む

対物検査に誤差があった場合

以前、受入検査の方法として、代表検査のみの場合、全数検査、そして書類検査および対物検査という3パターンがあると書きました。
このうち、代表検査というのは設計監理、施工者(ゼネコン)と鉄骨ファブとの間に十分な信頼関係が築かれているような場合に実施されます。
通常はと言うと、書類検査と対物検査の組み合わせで、この検査が不合格となった場合、もしくは、最初の取引で鉄骨ファブの品質に確信が持てないような場合には全数検査になることが多いと思います。

先日、「対物検査に誤差があった場合」と検索された方がいましたが、対物検査2や3では、誤差があることを前提とした検査です。ファブが社内検査で測定した値と、設計監理者・施工者が測定した数値を比較し、その間の誤差を統計処理し、ファブの計測方法や計測器具に問題がない(測定値の偏りやばらつきが規定以内)であるかどうかを判定しています。
以前、書いたように、鉄は温度の影響で伸び縮みするので、測定した時の条件で値は微妙に変わります。
注意すべき点としては、ファブでの検査を工場内の日陰で行ったのに、受入検査を炎天下で実施するような二つの検査条件が大きく異なるようなことは避けるべきです。
仮に、書類検査、対物検査が不合格となった場合は、後日再検査とするか、施工者による全数検査とするかは施工者や設計監理と検討して決めることになります。ただし、施工者による全数検査は大きなコストがかかってきます。

品質管理・・・自工程完結の大切さ

 鉄骨ファブに限らず、製造業において最も重要なポイントは「品質管理」だと思います。いくら価格が安くても、不良品だらけであれば、安いことのアドバンテージはなくなりますし、むしろトラブルの解決に時間とコストがとられて結果としてずいぶん高い買い物になります。 “品質管理・・・自工程完結の大切さ” の続きを読む

探傷器の板厚設定と欠陥と垂れこみの判別

 UTの資格試験ではデジタル探傷器を使うのがポピュラーですが、実技試験でも試験体の板厚を計測して探傷機の板厚設定をそれに合わせるように調整し、探傷を行ったと思います。
非常に便利な機能です。ただ、実務となると、いろいろな板厚のものを限られた時間内で探傷していかなくてはなりません。そうなると、いちいち探傷機の板厚設定を変える余裕はありませんから、板厚を”infini(無限大)”にしています。
このテクニックはお世話になった検査屋さんから教えてもらったのですが、これは底面近傍の欠陥と垂れこみの判別をする上でも優位になります。
 ただし、こうすると板厚設定を変える手間はなくなりますが、得られたエコーが直射エコーなのか、1回反射エコーなのかを考える必要が出てきます。 “探傷器の板厚設定と欠陥と垂れこみの判別” の続きを読む