鉄骨製作管理技術者1級受けてみた(その3 バリニオンの定理)

 今回は、構造力学の基礎で必ず登場するバリニオンの定理について、書いていきます。

 バリニオンの定理(Varignon’s Tehorem)とは、数学の世界では「あらゆる四辺形において各辺の中点を結んで得られる四辺形は必ず平行四辺形になる」という定理で、物理においては、合力のモーメントは分力のモーメントの総和に等しいというもの。

 この二つがどういう風に結びつくのかは、お好きな方は考えて、いつか教えてください。今回は、1級鉄骨製作管理技術者の試験に出てくる程度のレベルで勘弁してください。 “鉄骨製作管理技術者1級受けてみた(その3 バリニオンの定理)” の続きを読む

変則的な形の梁の寸法測定

 鉄骨の特徴の一つは、細かくカットした各素材を溶接し、いろいろな形の部材にできることです。
 当然、曲げ加工も可能です。

 一般的な建物の梁は直線ですが、勾配のきつい二重梁(上下の階をつなぐ梁)では仕口との接合の都合上ギザギザ形状となったり(稲妻梁と呼んだりします)、意匠的に半円形に加工された梁があったりします。

 そんなときは、寸法精度はどこを計測すれば良いのか悩みます。鉄骨製品検査の教科書は標準的な測定方法しか書かれていませんから、そのような変則的な製品の寸法測定は検査技術者が自ら考えなくてはいけません。 “変則的な形の梁の寸法測定” の続きを読む

対物検査に誤差があった場合

以前、受入検査の方法として、代表検査のみの場合、全数検査、そして書類検査および対物検査という3パターンがあると書きました。
このうち、代表検査というのは設計監理、施工者(ゼネコン)と鉄骨ファブとの間に十分な信頼関係が築かれているような場合に実施されます。
通常はと言うと、書類検査と対物検査の組み合わせで、この検査が不合格となった場合、もしくは、最初の取引で鉄骨ファブの品質に確信が持てないような場合には全数検査になることが多いと思います。

先日、「対物検査に誤差があった場合」と検索された方がいましたが、対物検査2や3では、誤差があることを前提とした検査です。ファブが社内検査で測定した値と、設計監理者・施工者が測定した数値を比較し、その間の誤差を統計処理し、ファブの計測方法や計測器具に問題がない(測定値の偏りやばらつきが規定以内)であるかどうかを判定しています。
以前、書いたように、鉄は温度の影響で伸び縮みするので、測定した時の条件で値は微妙に変わります。
注意すべき点としては、ファブでの検査を工場内の日陰で行ったのに、受入検査を炎天下で実施するような二つの検査条件が大きく異なるようなことは避けるべきです。
仮に、書類検査、対物検査が不合格となった場合は、後日再検査とするか、施工者による全数検査とするかは施工者や設計監理と検討して決めることになります。ただし、施工者による全数検査は大きなコストがかかってきます。

鉄骨製作管理技術者1級受けてみた(その2 合力と分力、モーメント)

 今回は、この資格に絡む鉄骨構造(構造力学)についてです。
 まず、試験に出そうな鉄骨構造の問題としては
①トラス構造に関する軸力(当該部材について引張力がかかるか圧縮力がかかるか)を問う問題。
②ラーメン構造に関するせん断力図、曲げモーメント図の問題
③単純梁、片持ち梁の曲げモーメント”M”、たわみ、せん断力に関する問題。
④各種形鋼の特性と用途
⑤十分な強度を持たせるための方法
です。

 まず、基礎の基礎として「力の分解と合成」と「モーメント」について書いていきます。 “鉄骨製作管理技術者1級受けてみた(その2 合力と分力、モーメント)” の続きを読む

品質管理・・・自工程完結の大切さ

 鉄骨ファブに限らず、製造業において最も重要なポイントは「品質管理」だと思います。いくら価格が安くても、不良品だらけであれば、安いことのアドバンテージはなくなりますし、むしろトラブルの解決に時間とコストがとられて結果としてずいぶん高い買い物になります。 “品質管理・・・自工程完結の大切さ” の続きを読む

鉄骨製作管理技術者1級受けてみた(その1 全般)

 鉄骨製作管理技術者1級を受けてみたので、受験勉強の感想というか、押さえどころ書いてみます(ちなみに、先日、合格通知が来ました)。
 試験はマークシート5者択一式で記述式はありません。いつもの通り、HBの鉛筆を10本と消しゴム2個体制で臨みました。

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義務教育におけるプログラミング教育、教育そのものについて考えた

 先日、うちの子供の通っている学校でプログラミング授業について担当教師に話を伺う機会があったので、どのような内容なのかを聞いてみた。
 まず先に、公立の中学校では授業内容は自由に変えることはできないので、個別の学校や教員を批判する意味ではないことを予め言っておく。 “義務教育におけるプログラミング教育、教育そのものについて考えた” の続きを読む