「鉄骨」、「第三者検査」、「規定」というワードで検索された方がいらっしゃいました。今回は、このことについて少々。
鉄骨の検査では、材料受入検査、各工程における自主検査、社内中間検査、施工者中間検査、受入検査、塗装検査(メッキ検査)など、何段階にもわたる検査が行われます。
ただし、検査コストの観点から、すべての検査を実施しなくてはいけない案件はあまり多くはありません。
どの、検査を実施するのかは設計図書(特記仕様書など)に書かれています。殆どは社内検査として寸法精度、外観検査、超音波探傷を全数、第三者検査として外観検査と超音波探傷を指定の抜き取り立で実施しなさいというパターンです。
ただし、特記仕様に記載されていなくても施工者から塗装検査を追加されることもあります。
結論として、特記仕様に書かれた検査、施工者から追加された検査については必ず実施し、検査結果報告書を完了書類に綴らなくてはなりません。
検索ワードにある「第三者検査」ですが、オーナー(施主)から見ると、施工者とファブは直接、工事に携わる立場ですから、それぞれの都合に合わせて、恣意的な検査をしないとも限りません。多少不適合箇所があっても、工期の都合上、見なかったことにするとか...
とくに、鉄骨ファブの中にはコストカットのために検査していないのに、検査したことにするファブも多々あります(こういう行為をでっちあげる→油で揚げる→「天ぷら」といいます)。
これでは、鉄骨製品の品質、ひいてはそのような鉄骨からなる建築物の安全性を担保することはできなくなります。
そこで実施されるのが、「第三者検査」です。それなりの規模の物件であれば、大概は日本溶接協会による「CIW認定」を受けた第三者検査機関ということになります。
また、第三者検査への発注は施工者(ゼネコン)が行わないといけません。鉄骨案件において、一番信用できないのが鉄骨ファブなので鉄骨ファブ発注の検査機関はファブ側の利益になるような検査をしかねないという考えだからです。
そして、第三者検査機関による検査にはファブは円滑に検査ができるように協力しなくてはいけません。例えば検査員がこの部材を検査するといえば、上に乗っているものをクレーンで移動し、安全に検査できる環境を整えないといけません。検査に非協力的だと、検査妨害したとみなされ、不合格にされても文句は言えません。
第三者検査の検査範囲は「溶接部の外観検査(VT)」と「完全溶け込み溶接部のうち、引張応力の作用する箇所の超音波探傷(UT)」です。寸法精度検査(DA)は行いません。
また第三者検査に関わる「規定」について、ファブとして気にすることは前述した、「第三者検査の遂行に協力すること」、「第三者検査員に不適当な要請等はしない」くらいでしょうか。
あと、設計監理、施工者による受入検査(立会検査とも言います)時には第三者検査の方も必ず同席します。書類検査で第三者検査報告をするからです。
ちなみに第三者検査報告書は社内検査の捏造につながるため、ファブに開示されることはありません。
また、ファブによっては社内検査を外部委託することも現実的には多いのではないでしょうか。この場合の検査事業者は第三者検査が実施できる事業者が多いのですが、第三者検査と社内検査の委託先を同一業者にすることはできません。