数年前に努めていた会社の話。そこの設計担当って、はっきり言って素人さんそのもの。いや、全く向上しないという点では素人以下でした。その時の話を書かせてもらいます。
鉄骨ファブでは、自分みたいに品質検査を担当しているのは「検査屋」、工場で溶接をしている人とか、機械加工している人は「職人」、施工図や加工図を描いている人は「図面屋」って言われます。
そしてファブでの仕事のスタートと仕事の良し悪しは図面屋によります。図面屋がまともでなければ出来てくる製品も当然まともではありませんし、職人さんは図面が出来て来ないと作れません。それは当然ですよね。
さらに図面屋というのはそれぞれの物件について設計士やゼネコンと言った「外部」の「窓口」となる役目です。つまり、会社の顔であり、会社の質そのもの、設計士やゼネコンからは「図面屋の質=ファブの質」なんて言われたりします。
でも悲しいかな、そのファブでは図面屋はXXXでした。
そうなると、会社全体が、そのしわ寄せを被ることになります。
製品は図面通りなのに、いざ現場で組み立てようにも梁が柱まで届かない! 短いんですよ。反対にとんでもなく長いこともよくありました。でも確かに物は図面通りに出来ている。
職人や検査屋が「これおかしくないか?」と言っても「図面通りですから!!」、「その図面が変だっていってるんだろ」となっても「社長のチェックはOKでしたから!変だと思うんなら社長に言ってください!」で終了。
案の定、出荷しても組み立てることができないので、返品、作り直しになりました。それでも作り直しとなっても、設計図を確認しないで、思い込みで加工図を書いては製造に流すから、色々なサイズの物がどんどん現場に出荷されては返品されてくる。会社のスクラップ置き場はみるみる満杯に!
しまいには原寸検査で設計士に矛盾点を指摘されても「誤差の許容値も設計標準などというものも、私は知りません!」などと堂々と言って、最後は設計士の前でしくしく泣いたりしていました。ある意味、「スゲェー!この人」と思わされました。
今にして思うと、仕事をまともに教えてもらっていないのに矢面に立たされていたのも気の毒だったけど、全く勉強しないで、一人前のように振る舞ってはミスを職人や検査屋のせいにする。「なんで私のミスをみつけれなかったの?」なんて、ヒトとして、どうかと思わされました。
結構、前のことだったけど、「仕様書の内容は工場と検査に聞いて下さい」なんて言う設計担当者を見たのは、それが最初で最後だったなぁ。
今、あの会社どうなってるのかな。