鉄骨溶接部のUTを行うと、きずではないが紛らわしい反射エコーが得られることがよくあります。
UTをしている時は、頭の中で、いろいろと想像(妄想?)しながら探傷していますが、あらかじめこんな場所からの超音波エコーはきずエコーではないと知っていれば、探傷作業の時間短縮が図れます。
では、きずではない紛らわしいエコーはどのようなものがあるかというと次のつが主なものだと思います。
①垂れ込み
②裏当て金の端部エコー
まず①の場合ですが、実際の探傷作業では前もって、材の下端角からの反射エコー位置を確認しておきます。垂れ込みは必ず底面より深い位置から反射してくるのでこれが溶接内部のきずではないことがわかります。ちょうど下の図のように超音波が反射してきます。
次に②の場合ですが、裏当て金を仮付けしている溶接範囲で下の図のように超音波が反射します。仮付け溶接をしていない場所では母材の底面で反射した超音波は表面で再反射、底面での再々反射・・・と進んでいき減衰して消えていきますが、裏当て金の仮付け範囲では下の図のようにまるで割れがあるように反射してきます。
ただ、このときは探傷機に表示されるYの位置を直尺などで確かめれば、すぐに裏当て金の端部と同じ位置からの反射であることがわかり、これまたきずエコーではないことがわかります。
大事なのは、何かエコーが立ち上がったら、すぐに反射点の位置をチェックするということです。