UT1 円柱面エコーの入射角35.7°のなぜ

 UT1の学科講習では鋼材の円柱面エコーの話がでます。それは、「円柱の曲面から垂直探傷したとき最短距離である正三角形の路程を通る音波と、入射角35.7°で入射した超音波がモード変換しつつ遅れて音波エコー(遅れエコー)が観察されるので、これをきずエコーと間違わないように」というものです。
 最初は、超音波がどこでモード変換するのか考えて路程長さを計算し、確かに正三角形の路程の後ろにエコーが現るのが計算で求められることで満足しました。
 ですが私は、ふとなんで35.7°なんだろうと思ったわけです。
 そこで計算してみました。ただ、こんなことは資格試験には出題されませんので、興味のある方だけ読んでください。

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計算条件として、鋼材中の縦波音速を5900m/s、横波音速を3230m/sとする。

スネルの法則より

sin(α)/5900=sin(β)/3230        ・・・・(1)

図1より

α+α+β=90°        ・・・・(2)

(1)式より

β=sin-1(3230/5900×sin(α))  ・・・・(3)

(2)式より

β=90°-2α        ・・・・(4)

(4)を(3)に代入すると

90°-2α=sin-1(3230/5900×sin(α))

sin(90°-2α)=3230/5900×sin(α) ・・・・(5)

 

三角関数の基礎公式より

sin(90°-2α)=cos(2α) ・・・・(6)

2倍角の公式より

cos(2α)=1-2sin2(α)  ・・・・(7)

 

式(5)、(6)、(7)より

∴ 1-2sin2(α)=3230/5900・sin(α) ・・・・(8)

(8)式を変形すると

2sin2(α)+3230/5900・sin(α)-1=0 ・・・・(9)

X=sin(α)と置換すると(9)式は以下の様に変形できる

2X2+0.5475X-1=0

2次方程式の解の公式

AX2+BX+C=0について X=(-B±√(B2-4AC))/2A より

X=0.5834、-0.8571

sin-1(0.5834)=35.7°

sin-1(-0.8571)=-59.0°

反射角は負になることはないため、α=35.7°である。

※「反射角は負になることはない」というのは、平滑な面に対しある傾きを持って入射した波(青線)は緑線方向には反射するが、赤線方向には反射はしないということ。

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