以前、UTはいろいろな方向から探傷する必要があると書きましたが、どうしても見つからないこともあります。
それは同一ビーム路程上に二つのきずが前後に並んでいて、且つ反対側からの探傷ができない場合です。
こんなことは滅多にありませんが、下図のように、きず①ときず②がある場合、A側からの探傷ではきず①の影に隠れるきず②は全くその存在を検知できません。
B側からの探傷ができればきず②は検知できます。きずの位置がきず①とは異なることから重なってきずがあるのだろうと推測できます。
ただコラムに溶接されたブラケットやフランジ、T接手であれば反対側からの探傷は不可能です。
これを「音響の影」とよびます。こういうときは正直、降参するしかありません。
きず①を修正した後、再検査すると、きず②が検知されるということになります。
ただ、何度も言いますけど、こういったきずは滅多にありません。