UT(超音波探傷試験)は違う面から攻める

 実務上、超音波探傷をするとき溶接基準線の両側からとか直射と1回反射とかで探傷する必要があります。
 きずが厚さ方向に垂直にある場合は片側からで良いんですが、実際はそのようなものはレアケースで、多かれ少なかれ傾きを持っています。

 じゃあなぜ、UTを実施する際、いろいろな方向から超音波を当てる必要があるのかというと、超音波探傷で観察する「きずのエコー高さ」は超音波ビームに直角の面の投影面積に比例するから。

 下の図を見てください。溶接部内部に「きず①」と「きず②」がある場合(きず長さは同じとします)、A側からの探傷ではきず①もきず②も大きさは同じでエコー領域も同じ(Ⅱぐらいでしょうか)に見えます。
それは、どちらのきずも投影面積が同じになるからです(黄色い線で表しています)。
 でもB側から探傷すると、きず①に比べてきず②はエコー高さが高くなり①よりも大きなきずであることがわかります(赤い線と青い線で表しています)。

 次に溶接基準線の両側から探傷できない場合、例えばコラム材にH形鋼が溶接されているような場合ですが、この時は、直射と1回反射とか、1回反射と2回反射で探傷すると大きさに差があるかがわかります。

 要するに一つのきずに対し、いろいろな角度から超音波を当てることが必要ということです。

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