お疲れ様です。品質管理課の山口です。
今回は、先日、このブログを読んでくださった方から、抜取率30%の根拠についての知見を求められましたので、自分なりに調べてみたことを書かせていただきます。
鉄骨製品検査はファブにおける社内検査では全数検査つまり抜き取り率100%の検査を行います。
これに対して、第三者検査は抜き取り検査とすることが普通です(極稀に全数検査をすることがあります)。この抜き取り率は公共建築工事標準仕様書(建築工事編)にはAOQL2.5%とAOQL4.0%での抜き取りが規定されていますし、JASS6では1ロットのサイズを300以下、サンプルサイズを30とすると書かれています。
ただ、設計図書の特記仕様書にはしばしば、第三者検査の抜取率として30%と書かれている場合も少なくありません。しかし、抜取率を30%とする根拠は公共建築工事標準仕様書にもJASS6にも書かれていません。色々としらべてみましたが、やはり30%とする理由は見つかりませんでした。
しかし、それなりの理由があるから、30%という値が採用されているはずです。そこで思いつくのがJIS規格です。工業製品全般に対する抜取検査の規格として、JIS Z 9015-1:2006(ISO2859-1:1999)があります。
この規格のp.21~22に「なみ検査の1回抜取方式」が書かれていますが、ロットサイズが6以上では抜き取り率は10~33%となります。ロットサイズが小さければ抜取検査とするアドバンテージがありませんから、全数検査します。JISに則るのであれば抜取率はそれぞれのロットサイズによって変えなくてはなりませんが、建築物の場合、柱も梁も色々な種類があり、ロットも多様になります。それに合わせて、抜取率を変えるのも面倒です。それなら、実用的な面から一律、厳しい抜取率に統一するのも手です。
また、AOQL2.5%の第1水準の抜き取り率は33%であることから、丸めて30%の抜取率としているのでしょう。
ご存じの方がいらっしゃれば、是非、ご教示お願いします。